動脈硬化

動脈硬化

動脈硬化とは、血管の外膜・中膜・内皮細胞(血管の最も内側の細胞)などが傷付くなどして血管の壁が硬く厚くなったり、血管の内側が狭くなったりと、本来の構造が崩れている状態、または機能が低下してしまう変化のことをいいます。

 

動脈の構造

動脈の構造

動脈は外側から順に、外膜・中膜・内膜・内皮細胞と並んでおり、それぞれ重要な役割を担っています。

 

外膜

・外膜には細動脈・細静脈・リンパ管・神経があり、細動脈には血管の中からではなく外から運ばれてくる栄養分が流れる。

・神経は血管の収縮や弛緩を担っている。

 

中膜

・中膜には平滑筋(不随意筋:意志とは関係なく動く筋肉)があり、血管に弾力を持たせている。

・動脈の中膜は血圧に耐えられるよう分厚くなっている。

 

内膜・内皮細胞

・内膜の表面に内皮細胞が並んでおり、血管の壁に余計なものが入り込まないようにフィルターの役割を果たしている。

 

※勃起に重要な役割を果たす一酸化窒素(NO)は内皮細胞からも放出されている。

 

動脈硬化はどのように進行する?

動脈硬化が進む流れ

動脈硬化は20代の頃から始まると言われており、症状が出ないまま徐々に進行していきます。

 

初期の頃は自覚症状は出ませんが徐々に進行していきますので、症状がないからといって安心してはいけません。

 

では、どのようにして動脈硬化が進行するのでしょうか?

 

1. 高血圧や糖尿病などで血管の内が傷つくと、そこから悪玉コレステロール(LDL)が入り込んできます。

→コレステロールは細胞膜(細胞を覆う膜)の構成成分の為ある程度は必要ですが、過剰にあると傷付いた血管の内皮細胞に集まり過ぎてしまい、細胞の内側に入り込んで膨らみます。

 

2. 血管に入り込んだコレステロールを異物と認識した白血球(マクロファージ)が退治しに集まってくる。

同時に、傷を修復する役割を担う“血小板”も集まってきて血栓(血の塊)を作る。

 

3. マクロファージによって、さらに悪玉コレステロールが呼び寄せられる。

 

4. 年々、コレステロールの沈着物と血栓が徐々に大きくなり、次第に血管が狭くなっていく。

→高血圧や糖尿病を長年患っていて、悪玉コレステロール値も常に高い状態であれば、この一連の流れが繰り返されることになる。

 

5. 狭くなってしまった箇所を血液が流れる時は負荷がかかるため、血管の内皮細胞が傷つきコレステロールと血小板が集まるという悪循環に陥りる。

 

動脈硬化を放っておくと危険

大きくなったコレステロールの塊がはがれ落ちたり、高い血圧によって血栓がとぶと非常に危険で、それらが心臓の血管で詰まると心筋梗塞、脳の血管で詰まると脳梗塞、腎臓の血管で詰まると腎梗塞、手や足の先で詰まると壊死を引き起こします。

 

動脈硬化が進行すると命に係るので、日頃から適度な運動やバランスの良い食事を摂ることを心がけるのはもちろんのこと、定期的に血圧を測り、最高血圧が高すぎないか、最低血圧が低すぎないかを確認しておくことも重要です。